なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか
なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか 成長するマネジャー 12の心得 (PHP文庫) | 田坂 広志 | 本 | Amazon.co.jp
先日読んだ本のレビューです。
特に印象に残ったところをピックします。
■第4講「なぜ矛盾を安易に解決してはならないのか」
◎言葉や論理は、世界を断片化し単純化してしまう性質をもつ
◎逆に、「生きた世界」「生きたシステム」は矛盾を内包している
◎「生きたシステム」の「矛盾」を解消してしまうと、そのシステムは生命力を失ってしまう
私はよく「物事をきれいにしようとしすぎ」と注意されますが、まさにこれだなと。言葉や論理できれいに分類して、分かったつもりになっていただけで、物事の本質は矛盾の狭間にあり、実は全くとらえられてないことが多いのだと。
◎優れた人材とは、究極、多くの「矛盾」を抱えた現実を前に、精神の強さを失うことなく、その「矛盾」と対峙し、自己の責任を賭した決断を行える人材
◎矛盾を「割り切り」によって解消してしまえば、生命力が失われる
◎マネージャーは部下に対して、「マネジメントの本質は、矛盾との対峙である」との真実を伝えなければならない
白黒つけたい気持ちを抑え、グレーも受け入れる。「AかBか」ではなく、「AもBも」。矛盾と向き合うのは本当にしんどいことですが、その許容量の大きさが器のでかさだと思います。
■第10講 「なぜ動かそうとすると部下は動かないのか」
◎心の深くに「操作主義」(どうすれば部下を動かせるか?)が潜んでいるマネージャーの言動には、部下は共感しない
◎逆に、操作主義のマネジメントは、その人間集団の持つ、精神的に未熟な部分や、権力追随的な部分や、打算的な部分を引き出してしまう
◎マネージャーが部下の共感を得ようとしたときではなく、マネージャーが部下に共感したときに、彼らの間に共感が生まれる
◎マネージャーとしてメンバーに「賛同」するのではなく、「正対」すること
小手先でどうこうしようとしてもダメで、本当に一人の人間同士が正対するからこそ、指示を超えた行動や成果がが生まれるのだなと改めて考えさせられました。もともと小手先は苦手ですが、だからこそもっと正対していかないと。
■第11講 「なぜ教育しても部下が成長しないのか」
◎一人のプロフェッショナルとして、「そこまでの高みを目指すのか」という目標の違いが、成長の結果の違いとなって現れる
◎ある高みにまで達したものを、毎日のように見る。そして、知らず知らずにその高みを自分自身の目標に重ね合わせていく。
◎我々は部下に「本物のプロフェッショナル」の活躍する外の世界を見せているか
◎「マネージャーが到達した世界が、部下が仰ぎ見る最高の世界」という過ちを犯していないか
自分がまだまだ未熟で本物になりえていないのであれば、社内だけの井の中の蛙という世界にするのではなく、外部の本物のプロフェッショナルを見せていかなければ、部下の視点は上がらない。
◎メンバーを成長させる空気は、マネージャー自身が成長すること/マネージャー自身が成長し続けること/マネージャー自身が成長したいと願い続けること、によって生まれる
◎マネージャーに求められるのは、部下に「何を教えるか」ではなく、自分が「何を学ぼうとしているか」を示すこと。部下はその姿をこそ見ている。
これはまさに。自分が下の立場だったら、上司のこの姿勢を一番見ています。
ビジネスやマネジメントにおいて、心のありようはすごく重要だと思っていて、田坂さんの本はそのような「こころの姿勢」についてよく書かれているのでいつもすごく共感します。
より正々堂々と、自分の高みを目指していきます。